ベストについての試論と今年の音楽ベスト

08年聴いた音楽のベストを決めてみたい。ところで、ベストとは何でしょうか。みんなどうやって決めてるんでしょう。ぱっと思いついたものがそうなのか、i-Podなどを見て再生回数で決めてるのか・・・。再生回数を基準にするなら数字で表されるので簡単に決められる気もしますが、再生回数が少なくても、衝撃度みたいのもあって1回1回の重さっていうのは違う気がします。そういうのも含めた効用というか面白さ・満足度というのは数値化できない。また、90分を超える大作で、聴き通したときの衝撃や満足度は大きいが、長いゆえに時間的な制限があって気軽に聴けず、再生回数は低くなってしまう、とかあるんじゃないでしょうか。それにベストは年末に決めるものですが、年始に出た作品と年末に出た作品では、年末に出た作品のほうが記憶に残っているので有利です。同じ年に発売といっても発売時期が異なるという点ですでに公平ではない気がします。年始に出た作品で、「聴いて衝撃を受けたという事実」は記憶していても、年末にベストを決めるときに聴いてみたら、あまり面白くない、飽きてしまっている、ということもあるでしょう。過去の自分とは「他者」に近いのですから。「今聴いても面白くないが過去に気に入っていたという事実があるのだからベストにいれるのだ」というのも個人的には何か違う気がします。また、「何度聴いても飽きないかどうか」というある程度の時間を必要とする評価軸でいくと、どうしても年始に出た作品のみ評価することが出来て、年末に出た作品は評価不可能になってしまう。年末(つまり最近)に出て今気に入ってる作品も、もっと早く飽きるとも限らない。でもそれは現時点ではわからない。何かその年に出た作品の中でベストを選ぶという行為がパラドックスというか、無茶な行為って気がします。

ではどう決めればいいか。自分なりに方法を考えてみます。まず、今の自分を基準に気に入ってる作品を直感でパースペクティブに決めてみる。そうすると後半に出た作品が多く入ると思うので(そうとも限らないが)、その後、再生回数や記憶を頼りに、今はそれほど聴いてないが年始・上半期に気に入っていた作品をハンディキャップ的にちょっとだけ評価を底上げして、ベストを再構成する、こういうやり方しかないんじゃないかと。

とかなんとか書いてみたけど、今年はあまり音楽(というか今年リリースされた音楽)を聴かない年でした。自分の今年のベストは、上に書いたようなややこしいやり方をしなくても多分はっきり決まると思います。今年上半期から今までずっと気に入って聴いていた作品はフォールズの『アンチドーツ』ぐらいということになります。マスロックがどうとか歌詞の文学性とかそういうことはまた別の機会に。単独来日公演かなり良かったらしいけど、見逃したんだよな・・・。あと夏発売以降現在まで通して割と聴いた作品としてデス・キャブ・フォー・キューティーの『ナロー・ステアーズ』と後半リリースとはいえ好きなアーティストであるEuros Childsの『Cheer Gone』もあげときます。


アンチドーツ(解毒剤)

アンチドーツ(解毒剤)

ナロー・ステアーズ

ナロー・ステアーズ

Cheer Gone

Cheer Gone