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ミシェル・フーコー『わたしは花火師です』

わたしは花火師です―フーコーは語る (ちくま学芸文庫)

わたしは花火師です―フーコーは語る (ちくま学芸文庫)

構造主義を代表する思想家フーコーの、最も脂がのっていた70年代のインタビュー集。難解な構造主義の中でも割と明晰な方といわれるフーコーではあるが、やはりいきなり本人の代表作に挑むのも無謀かもしれないと思い、入門書のつもりで読んでみたら、これが当たり。フーコーの思想の根幹がかなり分かりやすい言葉で語られている。それも研究者ではなくフーコー本人によるセルフ解説なので安心して受け入れることが出来る。訳者の中山元氏によればタイトルの「花火師」とはアルティフィシエという、あるいは「爆破技師」とも訳せる言葉なのだそうだ。フーコーは自らが哲学者であることも科学者であることも否定し「私はいわば花火師である」と言い、体系・規範・価値付けといった「壁」を自らの著作によって壊すことを夢想しているとインタビューで語っている。フーコーは今自明とされている「知」がいかに権力によって生み出されてきたかを浮き彫りにする。例えば19世紀以前、重商主義の基本的政策である生産と人口を増大し国力を高めるという目的から教育や医療は上からの力によって発達したのであって、個人のために発達したのではなかったということをフーコーは看破する。フーコーは権力は毛細血管のように密なネットワークで運ばれるもので、私達は権力を結ぶ結節点であり、個人のあり方は権力の産物に過ぎないと言い切る。そして、そうした権力と結びついた知の体系への服従から離脱するための武器・道具とするべく私は言葉を綴るのだと。