SIGHT vol.40 極私的まとめ

SIGHT (サイト) 2009年 07月号 [雑誌]

SIGHT (サイト) 2009年 07月号 [雑誌]

ここに書いてあるのは私的なまとめです。購入を考えてる人が参考にしたりすればいいと思います。ここに書いてあることを根拠に何か主張したりしないでください。そうする時は今号の『SIGHT』を買うなり万引きするなりして手に入れて実際の文章にあたってやってください。


外交と自民党藤原帰一

「日本は大国なんだから大国として認めてもらいたい、中国より俺のほうが偉いとか、そんなくだらないことを言うぐらいだったら、実際に日本は大国なんですから、国際秩序をどう作るのか、どんな役割を担うのかって議論が必要なんです。それ、全然ないでしょう?」

経済と自民党小野善康

――たとえば直接税も、いわゆる所得再分配機能をものすごく上げていくっていう行為をやると、金持ちの働く意欲がどんどん失われていく。
小野「だから、僕は相続税を100%取るべきだと思う。本当に楽しもうと思ったら、いろいろ考えて調べて、何を観たい、何を食べたいってなって、初めて本当に使うんですよね。年とるとだんだんめんどくさくなってきて、そういうのがなくなってくる。そういう人が金を握ってるわけでしょ。でも握ってるだけなら税金で全部取られちゃうってなったら、使うしかないでしょ。」

年金と自民党/岩瀬達哉
官僚も自民党も野党の議員もみんなで年金を食い物にしてた。こんな美味しい甘い蜜があったのかっていうことだった。

農業と自民党神門善久
食糧危機は起きていない。自給率を上げても意味がない。問題は絶対量ではなく、流通にある。

「都市部の人は農村というと昔ながらの集落機能が残っていると幻想を持ちがちですが、農村にもミーイズムがどんどん入っているんです。耕作放棄地の所有者の多くは、都市在住の元農家の子供です。彼らは農業には無関心でも資産としての農地には執心します。」
「偽装農家が日本の農業における最大の問題。彼らは農業で生計を立てているのではなく、農水省の金、つまり税金で開発された・改良された土地を住宅地や工業用地に転用することで儲けています。」

総論対談 内田樹×高橋源一郎(司会:渋谷陽一
日本語はぐにゃぐにゃしたコロキアルなもので、英語圏と違って政治的な言語とは相性が悪い。政治理念が書かれたテキストなき自民党は実体だけあって言葉がない。だから自民党は語りづらいという話になる。面白い。

高橋:卵が割れて、最初に見たのが民主主義と努力なんだよ。
内田:はははは。
高橋:すり込まれちゃったんだよ。
渋谷:だからきっと、俺たち世代が死に絶えると、日本は変われるね。

ネオコン以前、ネオコン以後、中東はどこへ行くのか 
対談 酒井啓子×田原牧

シーア派スンニ派にそもそも大きな違いはないという話にびっくり仰天。

酒井:そもそも日本で考えられているほど宗派の違いはありません。エジプト人の出稼ぎ労働者がスンニ派なのに、金曜日になるとシーア派のモスクにお祈りに行くんです。「これシーア派のモスクなんですけど」って私が言うと、「でもモスクじゃん」と言っていましたね(笑)


田原:日本では、アメリカがすごく強くて、イラクの人たちが非常に弱いと思われがちですが、大変な誤解です。彼らはしたたかで、強くて、えげつないですよ。
酒井:イラク人は、アメリカを「どう利用してやろうかこいつらを」っていうふうにしか考えていないんです(笑)。


田原:いろんなところにしゃしゃり出て、情報をかき集めて腹の底はどうあれ、平和主義の旗は決して降ろさず立ち回る。そうやって日本は鵺(ぬえ)のように生きさらばえる国になるべきです。しかし、そのための人材育成なりシンクタンクなりに、この国は驚くほど金を使わない。

インタヴュー 伊勢崎賢治

タリバンの実態というのは、誰もわかってないんです。誰がコアなのか、どのくらいがちゃんと統制のある、軍事行動をとれるコアなグループなのか。それは米軍でも把握できてないんですね。」
「まずアフガニスタンパキスタン貧困層をなんとかしなくてはならない。アフガニスタンパキスタン国境の部族地域からやってくるタリバンのうち、相当数が主義主張からではなく経済的な理由で過激派になっているんです。」

東浩紀ジャーナル
今回のお題は「サブカルチャー化する現代思想」。思想が趣味として消費されるようになり、最初から興味のある読者にしか届いていない、また思想自体もサブカルチャーを対象とすることが多くなっているとして筆者は思想のサブカルチャー化を指摘。筆者はそうした事態に苛立ちを覚える保守的な反応に理解を示すが、もはやこの流れは止めようがないし、またサブカルはサブカルなりの方法で普遍に届くこともありうるのだから要はそれを目指せばいいのではないかと考えるようになったという。今回の内容の背景としてある「ゼロアカ道場」を追っていたので読みながら割とすんなりイメージ出来た。ところで東さんの最近の思想・文学に対するスタンスは、偏狭を嫌いリアリスティックに全体性を志向するという点で編集長で音楽評論家である渋谷さんのロック/ポップミュージックに対するスタンスに近いといえるかも。


吉本隆明さんの連載がなかったのが気になる・・・。