ウィルフリド・セラーズ『経験論と心の哲学』についてのメモ

借りてきたはいいものの評判どおりめちゃめちゃ難解であえなくフルボッコに。ローティによる解説で精一杯だった。いつかまた挑む。



ウィルフリド・セラーズはクワインと並んで20世紀アメリカを代表する哲学者であり、『経験論と心の哲学』は分析哲学のひとつの金字塔である。

ローティやデイヴィドソンデネットといった面子もセラーズに対するリスペクトを隠さない。

ローティが選ぶ、分析哲学に重要な転換をもたらした三冊

1)クワイン『経験論の二つのドグマ』(1951)
2)ウィトゲンシュタイン哲学探究』(1953)
3)セラーズ『経験論と心の哲学』(1956)

「その中でもセラーズの著作が知られる度合い、論じられる度合いが最も小さい」byローティ

デネットは自身が属している学派である機能主義を創始したことをセラーズに帰しているし、クワインの系譜に属するデイヴィドソンも「私はウィルフリド・セラーズによって概念化されていない所与なるものの愚劣さを説得された」と述べている。

にもかかわらず知名度は決して高くない。母国ですらクワインと比べれば地味な存在でありつづけた。それはなぜか。

1)クワインがアメリカの哲学界の権威だったハーバード大学だったのに対し、ピッツバーグ大学だったことが名声と影響力に差を生んだ
2)古代や大陸系の哲学の知識を駆使した晦渋な論述のスタイルが多くの分析哲学者を遠ざけた(ローティ談)

しかしピッツバーグのセラーズの弟子にあたるブランダムやマクダウェルの言及によって近年再評価高まる。

ローティによればセラーズに比べてクワインウィトゲンシュタインは古代や大陸系の哲学については重視していなかったり知識にむらがあったとのこと。

「セラーズは、われわれは「心」を言語がある種実体化されたものと見なすべきだと主張した最初の哲学者といってよいかもしれない」byローティ

感覚印象もすべて思考の中に含めたデカルトと違ってセラーズは思考と感覚印象を明確に区別

・セラーズが依拠する心理的唯名論とは何か
1)抽象的存在者についてのすべての意識は言語に関わる事柄とする
2)これにより経験論と合理主義にとって基本的な知識の「基礎」という考え全体が消え去る

経験論と心の哲学

経験論と心の哲学