2010-01-01から1年間の記事一覧

門脇俊介『破壊と構築 [ハイデガー哲学の二つの位相]』

門脇俊介氏はハイデガー研究者であるが、本人も述べているように、ハイデガー哲学をアクチュアルなものとして分析哲学や認知科学との対話に多くの労力を費やしてきた異端のハイデガー哲学者である。その信念と研究活動はアメリカの哲学者ドレイファスやロー…

『成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』

予約していたのが届いたので。 中野さんは「思想色が強い(実践的な内容より今はそっちのほうが求められてるから)」と書いてましたがほどよく思想的・理論的、ほどよく実践的という感じでしょうか。統計データとかはあまり出てこないタイプです。ところでタ…

ウィルフリド・セラーズ『経験論と心の哲学』についてのメモ

借りてきたはいいものの評判どおりめちゃめちゃ難解であえなくフルボッコに。ローティによる解説で精一杯だった。いつかまた挑む。 ウィルフリド・セラーズはクワインと並んで20世紀アメリカを代表する哲学者であり、『経験論と心の哲学』は分析哲学のひとつ…

中山康雄『科学哲学』

今人文書院からブックガイドシリーズが始まっていて、詳しくはここを読んでいただきたいのであるが http://www.jimbunshoin.co.jp/news/n1460.htmlこの手のシリーズにして目立つのは沖縄論やマンガ・スタディーズあたりかな。 私は『科学哲学』を購入。シリ…

そんな装備で大丈夫か

なぜかデリダを読んだり。 思ったより読みやすくてデリダせんせいの好感度アップ。 最近めっきり寒くなってきましたがみなさま、風邪など召されぬよう。 といっても無茶して風邪ひく奴は何言ったところで無茶して風邪ひくんだろうケドな!wマルクスの亡霊た…

日本社会のオルタナティブ・ビジョン

おととい、首都大の学祭のイベントのこれ↓ちょっとみてきました。首都大学東京法学研究会「日本社会のオルタナティブ・ビジョン――共同体から幸福を問い直す」出演者 中野剛志先生×宮台真司先生×谷口功一先生以前谷口さんが告知していたナカニシヤから出る『…

黒田亘のシンポ@東大本郷

に、おととい、行ってきた。といっても黒田亘については日本の分析哲学の開拓者というぐらいしか知らんかったのであるが。まあ、戸田山和久さんを生でみれるというのが大きかった。ミーハーですいません。内容は志向性とか因果性とか行為論とか。戸田山さん…

奇妙なすれ違い─伊勢田哲治・藤野寛による鶴見俊輔インタビュー

鶴見俊輔に関しては正直ノーマークだった。プラグマティズムの輸入者程度に思っていた。 まさかハーバード大学でホワイトヘッドやラッセル、クワイン、カルナップといった英米系哲学者の、目もくらむメンツに直で教わっていたとは。しかも分析哲学・科学哲学…

RATIO 06 戸田山・伊勢田往復書簡

RATIOで戸田山和久氏・伊勢田哲治氏が往復書簡の連載をしていると知ってとりあえず最終回の載っている6号購入。これからまったりとコンプしていきたい。で、コンプした途端にまとまった本になったりしてね(笑)。 科学哲学では自分の知るところではとりあ…

幹細胞医学が見る夢

先日第49回日本SF大会の市民公開講座「幹細胞医学が見る夢」に行ってきたのでちょっとその話でも。ちなみに会場でもらったパンフレットみたいなのに書いてあるのがこれ。↓ SFというジャンルはメアリー・シェリーの手による『フランケンシュタイン、ある…

痛みについての試論(グラフもあるよ)

さっきタンスに足の指ぶつけて思ったんですが、人間ってちょっとしたことで痛み感じすぎじゃないでしょうか。そもそも痛みって命を危険から守るためのものでしょう。ということは大して命に危険がないことはもう少し痛みを緩和すべきなのです。例えば現在下…

経済倫理=あなたはなに主義?

A)X:利益 Y:道徳B)X:公正 Y:安定・成長C)X:自由な関係性(連帯/家父長制) Y:人為的なリベラル制(自己責任)D)X:包摂主義 Y:非包摂主義具体的には ↓ 上の表以外はこちらYYYY…近代卓越主義YYYX…共和主義YXYY…耽美的破壊主義、支配者嫌悪主義XXXX…国家型…

!!!『Strange Weather, Isn't It?』

久々に音楽ネタ。 !!!と書いてチック・チック・チックと読みます。 2004年頃からそれなりに追っかけててこれは4枚目(日本でブレイクした"Louden Up Now"が1stだと思ってる人が多いようだがセルフタイトルのアルバムを2001年に出してる)。 2007年に出…

新自由主義関連のミニブックガイド

まだ全部読んでないのもありますが(←なんて奴だ!)。 別の目的で手にとって偶然知ったのですがイギリスの新自由主義についてのあれこれならこれが詳しい。第三の道―効率と公正の新たな同盟作者: アンソニーギデンズ,Anthony Giddens,佐和隆光出版社/メーカ…

東浩紀さんと"プチ思想"

一部で話題になっている東浩紀さんの三島由紀夫賞(おめでとうございます)の「受賞者自身による【略歴】」第23回三島由紀夫賞 受賞者自身による【略歴】|新潮|新潮社 下のほうに「意外なプチ思想ブームが到来して華麗に再生。」とあるんですがかつて東さ…

新自由主義って何だろうか

どうも"新自由主義"とか"ネオリベ"という言葉が一人歩きしてるというかマジックワードみたいになってる気がして、最近新自由主義について調べているんですが、新自由主義の問題提起の代表選手ということで、デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』を手にとっ…

社会学を鳥瞰する―『本当にわかる社会学』

フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる社会学作者: 現代位相研究所編,堀内進之介,大河原麻衣,山本祥弘,塚越健司出版社/メーカー: 日本実業出版社発売日: 2010/04/15メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 332回この商品を含むブログ (12件)…

飯田泰之さんのダブスタ?

飯田泰之さんという優秀な若手マクロ経済学者さんがいるんですけれども。 『経済成長って何で必要なんだろう』と『日経ビジネス・新しい経済の教科書』という、割と発売日の近い2冊で正反対のこと言ってる(と思える)部分があったのでちょっと引用してみま…

復活!斎藤環×茂木健一郎の往復書簡

自分はかつて「斎藤環×茂木健一郎の往復書簡でモギケンから返事こない問題」についてこのブログで書いたことがあります*1。 ようは斎藤環さんの提案で茂木さんとの往復書簡の企画が始まったが環さんからの第一信以来2年間茂木さんから返事がなく、梨のつぶ…