2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『知のユーラシア1 西洋近代哲学とアジア』

本書の目的は近世(17世紀末から19世紀全般)における思想・宗教・文化面での「東西交流」「東西関係」に新たなメスを入れること。たとえばライプニッツがイエズス会の中国伝道師らとの交流を通して早くから中国思想に強い関心を示していたことは比較的よく…

増田聡『その音楽の<作者>とは誰か』

Twitterで音楽美学・音楽社会学クラスタにはおなじみ増にぃのごほん。 つぶやきのノリと文体のギャップに最初いささか戸惑う・笑ロラン・バルトやミシェル・フーコーの「作者の終焉」の議論とのアナロジーで、ニコニコ動画やクラブミュージックのサンプリン…

貴堂嘉之『アメリカ合衆国と中国人移民 - 歴史のなかの 「移民国家」 アメリカ』

これまでの米国の移民史研究ではヨーロッパ系移民を中心に論じられ、アジア系移民はあまり扱われることがなかったが、本書はそこにばっさりメスを入れ、東南アジアの植民地化とそれに伴う広東、福建からの労働力移動といったプル要因やアヘン戦争、太平天国…

ポール・ファーマー『権力の病理』

ポール・ファーマーは貧困国で結核やエイズの医療活動を行ってきた医師・医療人類学者であり、政治哲学的にはアマルティア・センに近く、じっさいセンが序文を寄せている。 1部はハイチなどで著者が見聞きしたことの記述やインタビュー、2部は通常の人権の…