日本動物心理学会監修『動物たちは何を考えている?動物心理学の挑戦』

色の見え方の進化的説明とか(恐竜の時代に哺乳類は夜行性だったので4つの錐体(すいたい)のうち2つを失ったが果実食への適応で3色型を取りもどした等)好き嫌いや薬はだんだん効かなくなるといった、本書に登場する大抵の話はヒトのサブパーソナルな領域の研究読んでるのとあまり変わらなかったが個人的に興味深かったのが第5章の「動物だっていろいろ考える」。
パーソナルレベルというか志向的レベルというか、その辺どこまでできるのか気になるというのがあったのだけどやっぱこのレベルだと言語による報告がないと難しいようだ。
ハトやアカゲザルも推論できることを示したという実験については、とっくにたくさん言われてるんだろうけど単純な学習の成果という筋道もあるのではないかと思った。
しかし実験方法についてざっくりとしか書いてないうえ参考文献がついてないのでこれ1冊でガチで検討しようと思っても難しい。
なので気になった実験は「アカゲザル メタ記憶」とかのキーワードを適当に拾って検索して日本語の記事や論文をチェックするとかしてた。

ヒト以外の動物も単語とか画像を記憶すること自体はけっこうできるんだけど(ハトなら700枚ヒヒなら3200枚)やっぱり組み合わせて文を作ることが難しいらしい。チンパンジーだと手話を使って「赤ん坊 嬉しい」ぐらいのやりとりは出来るようだけど頑張っても平均1.5単語程度。その点はさすがホモコンビナンス。

なんというか清々しいほどあらゆる意味での哲学っぽさがなかったw
いやまあ基本中の基本をざっと知りたかっただけなのでそこはまったく問題ないんだけど入門書の次に読むべきブックガイドとか参考文献リストは巻末に付けててほしかったかな。

動物たちは何を考えている? -動物心理学の挑戦- (知りたい! サイエンス)

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