飯田泰之さんのダブスタ?

飯田泰之さんという優秀な若手マクロ経済学者さんがいるんですけれども。
『経済成長って何で必要なんだろう』と『日経ビジネス・新しい経済の教科書』という、割と発売日の近い2冊で正反対のこと言ってる(と思える)部分があったのでちょっと引用してみます。

(飯田)一人当たり国民所得水準でアメリカの7割、8割程度の国が資本主義のフロントライナーって、笑わすなという話ですよ。もはや、日本はフロントライナーではありません。(日経ビジネス「新しい経済の教科書」p29)

(飯田)現在日本経済自体が世界経済のフロントライナーです。そうすると、企業・政府ともに特に真似するべき対象というのがないわけです。新しい目標・新しい方向を自分で設定しなきゃならない。(『経済成長って何で必要なんだろう』 p249)

まあようは日本が資本主義のフロントライナーかどうかって話なんですが、文脈的には前者が「日本は資本主義の限界に先頭を切って直面した、だからゼロ成長社会を目指そう」という、いわゆる経済成長の病派(内田樹さんとか平川克美さんとか)の意見を皮肉ってる部分で、後者はポスト高度成長体制に移行するにはどうすればいいのか、という文脈です。

しかし、自分達と対立する主張を皮肉る時と、自分の主張をする時で、日本がフロントライナーだと言ったりフロントライナーではないと言ったりするのは、問題がある、読者を混乱させるのではないかーーというか、少なくともぼくは気になりました。


新しい経済の教科書 (日経BPムック)

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経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

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経済成長という病 (講談社現代新書)

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