2012-01-01から1年間の記事一覧

アレックス・ローゼンバーグ『社会科学の哲学』

Alexander Rosenberg "Philosophy of Social Science 4th edition"科学哲学では線引き問題とか理論的対象の実在論争の他に、個別科学の哲学といって「生物学の哲学」とか「心理学の哲学」なんて分野がある。本書は「社会科学の哲学」のイントロダクション。…

生きてます的な

温泉に行くも人大杉。屋外の日陰でひぐらしの鳴き声に囲まれながら本読んだりしてだらだら過ごす。 空模様の縫い目をたどって石畳を駆け抜けると夏は通り雨と一緒に連れ立って行ってしまうのです。 Edouard Machery "Concepts are Not a Natural Kind." Phil…

分析哲学と法哲学・政治哲学の関係とか

……みたいなことに今ちょっと興味あります。川本せんせいの『ロールズ』なんか読むとけっこう分析哲学の有名人がポンポン登場するんDAYONE。 たとえば冒頭の架空インタビューでロールズにこんな発言させてるね。 ところで今のラインアップ(『現代思想の冒険…

フランソワ・レカナティ『ことばの意味とは何か』

レベルの高い分析形而上学の議論をTogetterとかで読むと論理学べんきょうしたくなるのである。というわけで今度問題集でも買ってこよっかな。 さて、本書は「フランス」で「現代」で「哲学」ですが「フランス現代思想」ではありません。 著者であるフランス…

ピーター・ディア『知識と経験の革命―科学革命の現場で何が起こったか』

訳者あとがきによれば、著者ピーター・ディアは世界的な科学史研究誌『Isis』に掲載された論文を精選して編集することを委託されたりと厚い信頼を受けている科学史研究者で、現在はコーネル大学で科学史・科学技術論を講じている。2001年刊行の本書は翌2002…

セドリック・ブックス『言語から認知を探る―ホモ・コンビナンスの心』

セドリック・ブックス。ベルギー出身で、ハーバード大学の助教授、准教授を経て、現在はスペインのカタラーナ高等研究所・バルセローナ自治大学の研究教授。 専門は生物言語学、理論言語学。 本書はハーバード大学での学部生用の講義を基にしているとのこと…

ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン― 「言語本能」を超える文化と世界観』

ピダハンというのはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。元々言語研究のためというよりキリスト教者として聖書をピダハン語に翻訳してピダハンの人々に布教するためにピダハンの村に赴いた著者だったが、やがて現存するどの言語とも似ていないピダハン語と彼ら…

ゼノン・W・ピリシン『ものと場所―心は世界とどう結びついているか』

著者ゼノン・W・ピリシンは1937年生まれ、ラトガース大学に在職し、同大学認知科学センターの所長も勤める認知科学の重鎮の一人。 チザムやシュリックといった古典的認識論の哲学者は、ある内容を持った信念が別の信念を正当化して…という一連の流れをどうや…

スティーヴン・クレスゲ編『ハイエク、ハイエクを語る』

これは経済学がどうこうというより20世紀初期ウィーンの状況とかに興味があって手に取った。 本人の手による自伝的ノートをベースに、トピックに関連するインタヴューが合間合間に挿入されるというちょっとユニークな構成。狭義の哲学者ならぬハイエクの視点…

『国際政治哲学』

これは良書ですねぃ。扱ってる範囲は広いし文献案内も充実してる。 17ページにわたる力のこもった「はじめに」を読むだけでも勉強になる。 その「はじめに」で「各章は内容的に独立しており、関心のある章から拾い読みしていくという読み方も可能」とあるの…

ギルバート・ライルによる『存在と時間』書評

自分がコレ読んだのはけっこう前ですけど、大陸系と分析系といいますか、日常言語学派の哲学者が現象学的伝統に言及しているのは割とレアかなと思い、紹介してみます。ライル先生、このとき28歳ですけど、現象学のほうの事情もかなりお詳しいです。つーわけ…

アレックス・ローゼンバーグ『科学哲学 なぜ科学が哲学の問題になるのか』

著者のローゼンバーグは1946年生まれ、これまでにラカトシュ賞*1とファイ・ベータ・カッパ協会の教授賞*2をゲットしており、社会学の哲学から生物学の哲学まで関心は幅広い。本書は、著者ローゼンバーグによれば「ヘンペルの『自然科学の哲学』を継承するに…