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新自由主義って何だろうか

読書

どうも"新自由主義"とか"ネオリベ"という言葉が一人歩きしてるというかマジックワードみたいになってる気がして、最近新自由主義について調べているんですが、新自由主義の問題提起の代表選手ということで、デヴィッド・ハーヴェイ新自由主義』を手にとってみました。ところでハーヴェイって地理学者なんですね。全然知らなかったよ。引用数とか最も多いらしい。

本書でハーヴェイは、新自由主義の本質は50〜70年代にかけて力を奪われてきた資本家階級・政治エリートのとりわけ金融資本を中心とするそれの権力回復だとみなし、新自由主義の歴史を総括している。この辺はちょっと左派っぽいというかなんというか。

ところで本書では英米や中国、ロシア、韓国、さらにはアルゼンチン、メキシコなんかまで扱ってる割に日本は触れられてない。しかしそれを補うように付された巻末の、訳者による論稿「日本の新自由主義」これがとても面白い(本編より?)。そしていろいろなことがクリアになった。少しでも新自由主義とか政治哲学とか大きい政府小さい政府とかの議論に興味あるなら近くの図書館いって本書を借りて、この「日本の新自由主義」の所だけでも読んだほうがいいと思う(40ページ分くらいです)。

巻末の論稿「日本の新自由主義」を読んでわかることは、新自由主義には先進国タイプと途上国タイプの2つがあるが、日本はその2つのちょうど中間の位置を占めていて、新自由主義に至るまでの文脈が他国とかなり違っていて、英米なんかとは分けたほうがいい、ということ。特に福祉国家に対するオルタナティブだった英米と違いゴリゴリの福祉国家を通過してない日本では新自由主義の社会への打撃は大きかった、と筆者は分析する。

欧米の学者が"新自由主義"という言葉を使う時は、その学者が(よほどの日本の政治事情通でない限り)「英米の新自由主義を無意識に前提にしている」ということに留意しつつ、その学者の本を読むなり話を聞くなりしたほうがいいのかもしれない。


以下、自分なりに「日本の新自由主義」で論じられているその二つの新自由主義に至るまでの文脈の違いや結果の違いを簡単にまとめて表にしてみた(「本当かな?」ってのもあるっちゃある)。


新自由主義―その歴史的展開と現在

新自由主義―その歴史的展開と現在